流行通信
2002年10月−12月
体感アクションゲーム

野球のバットを振る人、サッカーゴールにシュートを決める人、太鼓をたたく人、音楽に合わせて踊る人……みんな汗びっしょり。全員が同じ建物にいます。ここはいったいどこでしょう?

実はゲームセンターです。ゲームとはいえ、バット、サッカーボール、太鼓などはみな実物と同じ大きさです。映像や音楽に合わせて全身を動かしたり踊ったりして遊ぶ、このようなゲームのことを「体感アクションゲーム」と呼びます。

3年ほど前、ゲームセンターでは音楽ゲームが大ブレークしました。音楽にのり、画面の矢印に合わせてステップを踏み、あるいはキーボードを叩くなどして、得点と技を競うゲームです。このようなゲームをやりたくて大勢が押し寄せ、ゲームセンターは連日満員になったほどでした。それまでゲームセンターにはあまり寄りつかなかった女性や家族連れも見られるようになりました。

音楽ゲームがきっかけとなって、体感アクションゲームは種類がぐんと増えました。今では、大型のゲームセンターでは多くのスペースを占領し、座ったままボタンを操作する従来のゲーム機は影がうすくなっています。スポーツゲームでは野球、卓球、サッカーはもちろん、ボクシングやスノーボードまで、種類は実にさまざま。このほかにも、刀型のコントローラを持って画面の中の敵と戦うチャンバラ・ゲーム、健康維持やダイエット効果をねらった武道フィットネス・アクション・ゲーム、警察官になりきって物かげに隠れたりしながら暴力団を追跡するゲーム、さらに、釣り、犬の散歩、写真撮影……と、あげたらきりがありません。近い将来に発売される予定のものには、有名アニメのアフレコに挑戦できるゲームもあります。

ゲームセンターだけではありません、体感アクションゲームはさらに勢いに乗り、家庭用まで登場しました。プレイステーション2などのゲーム機のソフトとしてです。その先がけとなったのは、がん具メーカーのエポック社が2年前に発売した「エキサイト・スタジアム」でした。テレビ画面に映っている投手が投げた球を、付属のバット型コントローラでタイミングよく打ち返すと、実際に画面の中で打球が飛んでいくというもの。試合形式で対戦を楽しんだり、打ったホームランの飛距離を競ったりできます。スポンジ製のバットの内部に埋め込まれたセンサーが振った時の振動を感じ取って赤外線を発し、それが、テレビにつながれたゲーム機本体で受信されるしくみです。

このゲームは、本体をテレビにつなぐだけですぐ遊べる手軽さもあってたいへんな人気を呼び、他の家庭用体感ゲームシリーズが続々と登場するきっかけをつくりました。冒頭に登場した太鼓を打つゲーム「太鼓の達人」も、太鼓型コントローラのついた家庭用ゲームソフトが10月に発売され、大人気となっています。

「汗をかくからいい運動になるし、ママもストレス解消になるからと言っていっしょに踊ってるの」「いつもお父さんと試合をします。ぼくのほうが断然強いです」と、大人にも受けている体感アクションゲーム。今までのゲームと違って、家族全員で楽しめるところに人気のカギがあるようです。

写真:「太鼓の達人」では、おなじみのアニメ主題歌やヒット曲に乗せて、本物の太鼓を打っているかのような気分を味わえます。

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