流行通信 1999年10月−12月 |
たれぱんだ
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うつぶせになったこのパンダ、腕立て伏せをしているのではありません。ただ寝そべって転がっているだけなのです。しかし、よく見るとなんともユーモラスでかわいいこのパンダが、いま小中学生から20、30代の女性の間で人気上昇中なのです。 ぐたーっと寝そべって「たれて」いるところから、名前を「たれぱんだ」といいますが、これを見ていると「ほのぼのした気持ちになりリラックスできる」のだそうです。 「体長5センチ〜3メートル。時速2.75メートルで転がって移動する」というプロフィールをもつたれぱんだは、最初は1995年に東京の文具メーカーが売り出したシールに印刷されて登場したのですが、これはあまり売れませんでした。しかしその後デザインが改良され、98年2月に消しゴムやレターセットといった文具のキャラクターとして再登場したところ、徐々に評判を呼び同年の夏ごろから急速に売れ始めました。 今では文房具の他にタオル、時計、ぬいぐるみ、そしてお菓子など、約60種類の商品となって売られています。東京のあるデパートの話では、たれぱんだのキャラクター商品の売り上げはどれも好調で、中でもいちばん人気があるのは抱きまくらだそうです。東京にはたれぱんだの商品だけを売る専門店もあります。 意外なことに、このたれぱんだは大人の男性にも人気があるのです。日本経済が長く低迷するなかで疲れきったサラリーマンたちは、ぐったりとしたその姿に自分自身を見るような共感を覚えてほっとできるからでしょうか。 今年6月には、生みの親であるデザイナー末政ひかるさんの原画集「たれぱんだ」が発売されました。これがベストセラーになったことから、9月にはさっそく2冊目の「たれごよみ」が出版されたほどです。この調子でいけば、キティちゃんに続く息の長いキャラクターになるかもしれません。 写真:「たれぱんだ」グッズ。他にもいろいろな種類のものがあります。 |