流行通信
1999年7月−9月
カブトムシ、クワガタムシ

 セミ、トンボ、チョウ、コガネムシ、カミキリムシ、テントウムシ・・・・・・温暖で多湿な日本の夏は多くの種類の昆虫に恵まれています。そのため、夏の最大の楽しみのひとつに昆虫採集をあげる小中学生は小勢います(主に男の子ですが)。これらの昆虫は、夏休みの宿題や自由研究などによくとり上げられる人気者の虫たちばかりですが、なかでもいつも人気が高いのが、カブトムシとクワガタムシです。

 カブトムシは厚みのある長円形の体を持ち、光沢を帯びた黒褐色の甲虫で、体長3.5〜5.5cm。雄は、先端がY字形のみごとな角を頭に生やしています。

 クワガタムシ(stag beetle)は、体はやや平たいのですが、大きな頭部に文字どおりstag(雄鹿)の角のようにのびた1対の大あごを持つ甲虫の一種です。種類がいろいろあり(日本には39種類いるといわれています)、いちばん大きな種類では体長が8cmにもなります。

 カブトムシやクワガタムシを捕る方法は簡単です。早朝、ナラやクヌギの林に出かけていき、樹液が出ている木の幹を探します。いろいろな種類の昆虫が樹液を吸いに集まってきていますから、その中からカブトムシやクワガタムシを見つければよいのです。

 では、そのような林がほとんどない都会の人たちはどうするのでしょうか?これも簡単です。デパートに行けばよいのです。

 東京の大きなデパートでも、毎年カブトムシやクワガタムシを販売しています。今年の値段はカブトムシの雄が800円、雌が300円でした、カブトムシは初夏にふ化して秋には死んでしまうのに比べ、クワガタムシは大体5年は生きるため、値段も少し高めです。カブトムシにもクワガタムシにも、雌には角や大あごがないため、人気はやはり雄に集中し、雄は雌の倍以上の値段がします。

 また、日本最大のクワガタムシであるオオクワガタは、マニアの間では7.5cmのものだと4万円から15万円位(飼育か天然かなどによる)で売られていたりと、大人の間でも人気が過熱気味です。その上、8cm近くなると、養殖ものでも数百万円で取り引きされ、「黒いダイヤ」とも呼ばれます。

 近ごろはカブトムシやクワガタムシを養殖して販売する卸業者の数も増えてきました。さらに、九州の宮崎県や、本州の岐阜県といった一部の地方では、カブトムシの自動販売機が登場して、人気を呼んでいます。しかし、生き物を自販機で売ることは、命を軽視する風潮につながるのではないかと疑問視する声もあがっています。


写真:(上)カブトムシ(棚木浩一) ; オオクワガタ (鶴崎捷一); たくさんのカブトムシが樹液に群がってきます。( 棚木浩一)

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