流行通信
1999年1月−3月

だんご3兄弟

 日本中の親子が「だんご、だんご‥‥」とタンゴの曲を歌っています。アコーディオンとピアノのシンプルな曲と楽しい歌詞の「だんご3兄弟」が空前の大ヒットになっています。

 この歌は1999年1月、NHKが幼児向けテレビ番組『おかあさんといっしょ』で初めて放送しました。1カ月だけ流す予定だったのですが、初放送の直後から再放送や楽譜についての問い合わせが相次いだため、2カ月後の3月3日にはCDシングルを発売することになりました。子ども向けの歌としては異例のことです。

 だんごは米の粉を水で練り、小さく丸めて蒸した日本の伝統的なお菓子です。ふつうはこれを3つか4つ並べて串(くし)に刺し、醤油をつけて焼いたり、あん(餡)などをつけて食べます。だんごは昔から月見や花見などお祭りのときに食べる習慣がありましたが、ふだんのおやつにとしてもよく食べられています。

 この歌では、串に刺さっただんごは性格の違う3人の兄弟になっています。焦げ目のことでケンカしたりするけど、とても仲よしです。今度生まれてくるときも、たっぷりあんのついた同じ串だったらいいなと願っています。

 大ヒットの理由は何でしょうか。一度聞いただけですぐに歌える楽しい曲、タンゴとダンゴのゴロがいい、イラストの手書きの絵がかわいい、だんごを好きな人が多いからなど、いろいろ言われています。けれど、ひょっとしたら「3兄弟」にかくれた秘密があるのかもしれません。日本は少子化で3人兄弟は珍らしくなっています。歌を聞いて、もっと兄弟姉妹がいたらいいのにと思う子どもたちが多いのでしょう。

 「だんご3兄弟」のように子ども向けにつくられた歌がヒットした例は、この30年間に3曲ありました。やはりタンゴのリズムに乗った「黒ネコのタンゴ」(69年)はシングル盤が223万枚も売れました。魚の形をしたあんの入ったお菓子、たい焼きが主役の「およげ!たいやきくん」(75年)はなんと453万枚も売れました。この数字はシングル盤の売上げとして今でも日本一の数字です。TVアニメ「ちびまる子ちゃん」の主題歌、「おどるポンポコリン」(90年)の売上げは164万枚でした。

 「だんご3兄弟」はすでに260万枚を超えたと言われます。日本の代表的な童謡の一つになるでしょう。

写真: 長男が一番上、三男が下に描かれたCDシングルのカバー


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