流行通信 1998年10月−12月 |
ドリームキャスト
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1998年11月27日、家庭用ゲーム機メーカー大手のセガ・エンタープライゼスから新しいゲーム機「ドリームキャスト(Dreamcast)」が発売になりました。第一次出荷分の15万台はその日のうちに売り切れました。その後も売れ行きは好調で、現在も品薄状態が続いています。 ドリームキャストの人気の理由としては、新技術で可能になった高画質の3D映像とインターネットに接続できる通信機能などがあげられます。しかし、当時セガの専務だった湯川英一さん自らが出演したユニークなテレビCMのおかげで、このゲーム機は発売前から世間の注目を集めていたのです。このCMはふつうのテレビコマーシャルとは違って、自分の会社を悪く言い、ライバル他社の製品をほめるという型破りなものでした。 CMでは「セガなんてだっせえよな」「プレステの方がおもしろいよな」などという小学生の衝撃的な言葉が流れます。会社の悪口を聞きつけた湯川専務はびっくり仰天します。次第に落ち込む湯川専務ですが、そこに立ち上がって反撃せよとの声がどこからともなく聞こえてくる、といった内容です。このCMが大評判となり、セガは続編も制作して放映しました。こうしてセガは何かすごいことをやるぞという人々の期待感が高まり、CMでさんざんな目にあわされた湯川専務への同情も集まることになりました。 ドリームキャストの前評判は高く、発売開始当日は予約客にだけ販売することになっていたのですが、都内の販売店には前日から徹夜の行列ができました。その日、湯川さんも店に姿を現し、にこやかに挨拶して客の一人一人と握手を交わしました。ドリームキャストは各地で売り切れが続出しました。会社の売れ行き見通しが間違っていたことで、湯川専務は12月、その責任をとって常務に降格となってしまいました。けれど、湯川専務は今や子どもたちの間ですっかり人気者です。12月にはレコード会社からCDを出し、歌手としてもデビューしました。CDのタイトルはもちろん「Dreamcast」です。
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