流行通信 2001年10月−12月 |
リカちゃん
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算数が苦手で、国語、音楽、美術が得意。アイスクリームが大好き、というと「まるで私のことみたい」と思われるかもしれませんが、実はこれは今日本の少女たちの間で大人気の「リカちゃん」人形のことです。 リカちゃんは、今からちょうど35年前の1967年に登場したプラスチック製の着せ替え人形です。当時の日本にはアメリカのバービー人形がありましたが、リカちゃんの「かわいらしい」顔はたちまち当時の日本の少女たちの人気を独占してしまいました。リカちゃんに花嫁衣装を着せて「わたしもリカちゃんのようなお嫁さんになるの」と、今の女の子たちはもちろん、35年前の「女の子」たちもきっと将来を夢見たことでしょう。 リカちゃんは本名を香山リカといい、誕生日は5月3日。白樺学園という小学校に通う11歳です。お父さんはフランス人音楽家のピエールで、お母さんは日本人の女性ファッションデザイナーの香山織江といいます。身長は142センチ(人形の実際の大きさは21センチ)で、体重は34キロ。愛読書は『赤毛のアン』と『小公女』ですが、マンガ『ドラえもん』にも目がない――こうした徹底したプロフィールが添えられていることも、リカちゃんの人気の秘密のひとつでしょう。 その後、彼女の趣味は少しずつ変わっていきました。はじめはピアノを弾きながら歌うことでしたが、やがてウィンドウショッピング、そして15年ほど前からはお菓子づくりが好きになり、テニスもするようになりました。 そして34年たった2001年、リカちゃんにはじめて赤ちゃんができました。「こんにちは あかちゃん」の名前で11月に売り出された大人のリカちゃんはおなかが大きく、よだれかけ、ほ乳ビン、ガラガラなどの赤ちゃん用品などが付属しています。同封されているはがきを送ると、約2週間後におくるみに包まれた赤ちゃん人形と母子健康手帳などのセットが送られてきます。このセットにはリカちゃんのおなかを小さくする秘密の鍵も入っていて、これを使うと大きなおなかの部分が取り外せ、普通のリカちゃん人形に早変わりするというわけです。 発売35年を記念して今年1月1日から大阪で「リカちゃんフェスティバル」が開かれました。集まった女の子たちはほとんどがお母さん連れ。等身大のリカちゃんといっしょに家族で写真を撮った女の子は、「子どものころにリカちゃんハウスで遊んだ話をお母さんから聞けて楽しかった」と言っていました。 メーカーによれば、リカちゃんはこの35年間で4,800万体が売れたそうです。マタニティー姿のリカちゃんだけでも「3月までに10万体売るのが目標でしたが、1か月ではやばやと達成してしまいました。さらに5万体を増産する予定」だそうです。お母さんになったリカちゃんは、これからもずっと親子2代、3代で愛されつづけていくことでしょう。 写真:リカちゃんは35年にわたって日本の少女たちに愛され続けています。(© TAKARA CO., LTD. 2002) |