流行通信 2001年1月−3月 |
合格祈願グッズ
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前足を片方あげた猫の置物、フクロウの形をした水晶、赤いだるま型の人形の付いた耳かき……いったいこれらは何だと思いますか? 実は入学試験にのぞむ日本の子どもたちの「必須アイテム」です。 ぜひ願い事がかなってほしいと思うとき、みなさんはどんなことをしますか? 日本には古くから、願い事をするときや、それがかなったときのお礼として、神社や寺に絵馬と呼ばれる馬の絵が描かれた木の板をおさめる習慣があります。馬は神の乗り物と考えられていたため、何か願い事をするとき神が来てくれるようにと祈るわけです。 日本は進学競争が激しい国として知られています。毎年正月を迎えたころから、学問の神様をまつる全国の神社や、知恵をつかさどる文殊菩薩を安置する仏教寺院には、おおぜいの人びとが訪れ、そのために境内は絵馬でびっしりになります。それらのほとんどが、2月から3月にかけて行われる入学試験の合格を祈願したものなのです。 しかし現代の日本の小中学生は、苦しいときに頼るのは神様だけではありません。受験シーズンになると、先にあげたような幸運を呼び込むさまざまな合格祈願グッズを、机の上に置いたり、携帯電話のストラップに付けて持ち歩いたりしています。 最近とくに人気を集めているのが、四国にあるJR学駅の入場券です。「学」という漢字は「学校」の第一文字でもあるため、入場券に印刷してある漢字は「admission ticket to school」という意味に解釈できるわけです。 片方の前足をあげた「招き猫」は、日本では古くから福を招く縁起物として親しまれてきました。日本では片手をあげて手のひらを上下に動かすと「あっちへ行け」ではなく「おいでおいで」と招く意味になります。 ほかにも、子どもの安全を守ってくれる菩薩「地蔵」の置物、勝負強さと幸運のシンボルである真っ赤なだるまのアクセサリー付きボールペン、さらに「ドリームキャッチャー」と呼ばれるアメリカ先住民族に伝わるお守りまでが販売されています。変わったところでは、ユニークな博士の絵が描かれた袋に入った「頭脳パン」から、福をもたらす7人の神様「七福神」を描いた下着などなど、ありとあらゆる縁起物が、たたかう日本の受験生の強い味方になってくれています。 写真:(上)受験生の多くは、志望校の名前を絵馬に書きます;(下)ドリームキャッチャーや縁起のいい文字が書かれた猫のマスコットも人気です。 |