流行通信
2000年10月−12月
囲碁

 囲碁をご存じですか? 1対1で競うゲームで、碁盤という台の上に交互に白と黒の碁石を置き、最終的に広く地域を占めた方が勝ちというもので、いま小中学生の間で大人気です。

 簡単そうに見えますが、実は奥が深いこのゲームは歴史が古く、4000年ほど前に中国で生まれ、日本には6世紀に仏教の伝来とともに伝わったとされています。今から1,000年前の平安時代に書かれた長編小説『源氏物語』にも、宮廷生活に碁が定着している様子が描かれています。それ以後は徐々に人びとの間に普及し、現在では日本の碁人口は約1,000万人といわれています。また、日本ばかりでなく、アジアを中心に世界中に普及しています。

 そのような伝統的なゲームですが、日本では長い間、若い人たちの間にはあまり人気がありませんでした。1980年に権威ある日本棋院が主催して小中学生対象の囲碁大会を始めましたが、年々参加者は減る一方でした。

 では、なぜ今になって囲碁にそんなに注目が寄せられるようになったのでしょう? それは、人気ある漫画雑誌に囲碁をテーマにした漫画が連載されたことがきっかけでした。「週刊少年ジャンプ」で1998年12月から連載が始まった「ヒカルの碁」がそれです。平安時代、不遇のうちに死んだ藤原佐為(ふじわらのさい)という囲碁指南役が時を超え、現代の少年ヒカルにのりうつり、囲碁を打たせるというストーリーです。いやいや始めたヒカルでしたが、少しずつ囲碁のおもしろさを知り、どんどん実力を伸ばしていくという展開になっています。実はこの漫画には日本棋院も協力していて、「碁会所ってだれでも入れるの?」といった簡単な質問に答えるコーナーも設けられています。

 この漫画の人気にあおられて囲碁の人気は急上昇し、囲碁教室に碁を習いに行く小中学生が急増しました。ある中学生は、「考えるところがテレビゲームより楽しい」と言います。日本棋院の少年少女囲碁大会も、2000年の参加者は約2,100人となり、16年ぶりに2,000人を突破しました。大阪では囲碁を2000年の春から正規の科目に導入した高校もあります。

 初心者のためのホームページ「碁に夢中!」(http://webs.to/igo/)も開設されました。小中高校生を中心に毎日100件以上のアクセスがあるそうです(残念ながら日本語だけですが)。


(写真)(上)子どもでも、囲碁をするときは真剣です。;(下)日本棋院の少年少女囲碁大会。(日本棋院)

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