流行通信
2000年7月−9月
絶叫マシン

 日本ではここ数年、超大型や木製、ぶら下がり式など、新しいタイプのジェットコースターが次々と登場しています。

 1996年7月、東京に近い山梨県の富士急ハイランドに高さ79メートル、垂直落差70メートルという日本一の大型ジェットコースター「フジヤマ」が完成し、日本中の子どもたちの注目の的となりました。全長2,044メートルの軌道を最高時速130キロのスピードで3分36秒間疾走するこのコースターは当時、世界一の記録を集めた『ギネスブック』に「最大の高さをもつ伝統的完全巡回型ローラーコースター」と紹介されたほどでした。

 ところが今年8月、それをはるかに上回るコースターが本州の中心、名古屋市に近い三重県長島町に登場しました。それが「スチールドラゴン2000」です。高さ、落差、速さ、全長のいずれもが世界一という超大型ジェットコースターで、『ギネスブック』の記録を堂々と書きかえました。

   赤く塗られたレールが、ヘビに似た想像上の動物「竜」が胴をくねらせて空を駆ける姿に似たところから名づけられたこのジェットコースターは、世界一高い97メートルの高さから36人乗りのコースターが68度の角度を一気に93.5メートル急降下します。傾斜角68度といえば、上から見たらまるでまっ逆さまに落ちていくようです。そんな全長2,479メートルの道のりを、時速153キロという世界一速い最高速度で3分30秒かけて走るスリルは満点以上です。

 一風変わったコースターもお目見えしました。東京に隣接する埼玉県に今年3月に開設されたばかりの「レジーナ」は、2.6ヘクタールの池の上に造られた全長1,344メートルの木製のコースターです。水上を走るという珍しさもさることながら、木は力が加わるとしなるため、鉄製よりも揺れが激しいのが特徴です。

 東京都稲城市のよみうりランドにある「ホワイトキャニオン」も木製コースターですが、急カーブが多いのが特徴で、横向きにかかる1.5Gの遠心力は日本最大です。降りた時、おなかの中で胃袋だけが片方に寄っているような感じがするでしょう。

 「スチールドラゴン2000」と同じ三重県にあるパルケエスパーニャには「ピレネー」という全長1,234メートルのぶら下がり式ジェットコースターがあります。足をぶらぶらさせたまま45メートルの高さまで登り、最高時速100キロで滑走するのです。足が地に着かないままのきりもみやヘアピン2回転は、恐怖が一味違います。

 大阪のエキスポランドには、立ったままで乗るコースター「風神雷神2」があります。乗った人の話では「気絶しそうなほど怖い」そうです。

 勇気ある子供は二度三度と繰り返し乗るジェットコースター。さまざまなタイプで登場してくる絶叫マシンにはこの先しばらく目が離せません。いったいどこまで過激に、楽しくなるのでしょう。


写真:(上)ナガシマスパランドの「スティールドラゴン2000。」(ナガシマスパランド);(中)よみうりランドの木製ローラーコースター、「ホワイトキャニオン.」(よみうりランド);(下)パルケエスパーニャのぶら下がり式ジェットコースター、「ピレネー.」(志摩スペイン村)

cool